DSPの思い出


 DSP(Digital Signal Processor)なんて普段あまり聞きなれない言葉ですが,私にとっては非常に懐かしい響きです。DSPマルチプロセッサシステムの制作には本当に苦労しました。特にデバッグはハードが悪いのかソフトが悪いのかで,ひじょ~に大変でした。まぁ,今となってはあの苦労もボスの「まだできないのか!」って催促もいい思い出です。そんな思いを込めて研究室で制作したDSPマルチプロセッサシステム4機種を紹介してみました。


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TMS320C40 x 32

TMS320C25 x 16

DSP96002 x 1

MB86220 x 16



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TMS320C40 x 32


DSP TMS320C40(TEXAS INSTRUMENTS) x 32
名称 POWC40 又は ALPS(?)
動作周波数 40MHz
プログラムメモリ 1MWORD(32kWORD x 32)
データメモリ 32MWORD(1MWORD x 32)
結合方式 Binary 5 Cube
Share Memory(Option)
特徴 ・MIMD型マルチプロセッサシステム
・DRAMのリフレッシュの動作が不完全
・オプションで共有メモリあり
・名工大に共有メモリ搭載の16基のシステムあり
思い出  やっぱりTIソリューションで東日本優勝を果たしたことかな。大貫さんから引き継いだ時はどーしようと思ったけど,まぁなんとか形になってよかった。飯島先生作のケースに入れてからは,分解・組み立てが大変でした。手伝ってくれた秀さん,吉田君,吉井君ありがとう。この作業もボスに見つかるとうるさいので,深夜にやってましたね。

2007.03.31追記
大貫さん時代からずっとホストPCとしてPC-9801を使っていたけど,今後DOS/V機がメインになるだろうと思って,ISAバス用のインターフェースボードを卒業前に作っていきました。READ/WRITEのタイミングをCバスに合わせるのがめんどっちかったけど,結構真面目に考えて設計したのでほとんど一発で動いた記憶があります。


TMS320C40 x 32 (POWC40 or ALPS)
今でもちゃんと動いてるのでしょうか?


TMS320C40 x 32 (2007.03.24撮影)
使っている形跡はないものの,まだ捨てられずにありました。

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TMS320C25 x 16


DSP TMS320C25(TEXAS INSTRUMENTS) x 16
名称 NNC25
動作周波数 50MHz
プログラムメモリ 512kWORD(32kWORD x 16)
データメモリ 1MWORD(64kWORD x 16)
結合方式 16 Ring
特徴 ・SIMD型マルチプロセッサシステム
・ニューラルネットワーク用のシステム
・ほとんど誰にも使われずにお蔵入り
・類似品に単一プロセッサのファジー用(FZC25)あり
思い出  半田付けを研究室のみなさんに手伝ってもらったのですがデバッグのとき半田付け不良に悩まされました。結局,ほとんど半田こてを当て直した気がする。DSP間の通信のバグが,どうしてもわからなくて最後はソフトで対応するようにした思い出があります。


TMS320C25 x 16 (NNC25)
ニューラルネットワーク用に作ったんだよねー。一応...。

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DSP96002 x 1

DSP DSP96002(MOTOROLA) x 1
名称 96K
動作周波数 30MHz
プログラムメモリ 32kWORD
データメモリ 2MWORD(X:1MWORD , Y:1MWORD)
結合方式 ---
特徴 ・SRAMで2MWORDのメモリを搭載
・基板サイズが(邪魔になるくらい)大きい
・マルチ化は全く考慮していない設計...にもかかわらず,4基マルチプロセッサシステムに改造している内池君ご苦労様。
思い出  私が1から設計したボードです。やっぱり愛着がありますね。制作に結構お金がかかり,実際には150万円くらいだったと思うのですが,ボスには200万円とか250万円とかさんざんいじめられました。
 ハードデバッグの当初,アセンブラがなくてハンドアセンブルでテストプログラムを作ってました。そんな訳ですから,ハードが悪いのかソフトが悪いのかで,ものすごく苦労しました。
 マルチ化を全く考慮してない設計だったのにボスに完成してからマルチ化しろといわれたとき後悔しました。内池君が改造してますが設計し直した方が早かったのでは?

2007.03.31追記
先日,研究室に行き埃まみれの初期ボードを発掘しました。いや~懐かしい。汚く配線されたジャンパが,当時の私の設計の甘さ・半田コテ技術の未熟さ,そしてデバッグの苦労を思い出させます。この経験が後々役に立つわけですが…。真剣にお持ち帰りしようかと思ったのですが,やはりこの大きさは邪魔になるなということであきらめました。


DSP96002 x 1
残念!基板の写真しか撮ってなかった。


DSP96002 x 1 (2007.03.24撮影)
埃まみれでしたが,研究室の片隅に転がっていた初期ボードを発見
美しくないジャンパが当時のデバッグの苦労を思い出させます。


DSP96002 x 4 (2007.03.24撮影)
内池君が改造・製作したDSP96002 × 4システム。動作してところを見てみたかった。

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MB86220 x 16

DSP MB86220(FUJITSU) x 16
名称 HC220
動作周波数 16MHz(?)
プログラムメモリ 32kWORD
データメモリ 4MWORD(256kWORD x 16)
結合方式 Binary 4 Cube
特徴 ・電力情報工学研究室初のマルチプロセッサシステム
・MIDI型マルチプロセッサシステム
・持ち運び困難
・一番利用されたシステム
・大貫氏の血と汗と涙の結晶
思い出  大貫さんが卒業した後,「調子が悪いから見てください。」と言われていろいろといじっていたとき,コネクタの部分でショートさせてしまい黒い煙と焦げ臭いが部屋中に漂いました。やっべーと思っているとき,まだ壊れたことを知らないボスが来て「こんなの壊れたら,もう誰も直せないよなー」って言ったのをよく憶えています。偶然でた言葉なのか?それとも知ってて言ったのか?ショートしたボード,コネクタは後日直しました。もちろんボスに見つからないように深夜に。直ってよかった。
「あ、それ、俺もやったことある」(大貫氏談)


MB86220 x 16 (HC220)
大貫氏の力作です。インターフェイスボードがどっかいっちゃったそうです。

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